
私たちが普段使っている「引っ越し」と言う言葉。
何気なく、何の迷いもなく見ていますし発しています。しかし、よく見ると不思議です。
使っていのは「引く」と「越す」という字。
移動するのになぜこの字が使われるのでしょうか。今回は引っ越しという漢字の意味について解説します。
言葉の意味は?なぜ「引く」と「越す」?
まず「引く」には、基本的には「物を手前に近づける」という意味があります。
「引く」には使い方がたくさんあって、
「網を引く」「カーテンを引く」「くじを引く」「馬が荷物を引く」「電話を引く」「人目を引く」「辞書を引く」「弓を引く」
等たくさんあります。
「越す」は、「手前から向こうに移るために、ある場所を通りすぎて向こう側に行く」意味があります。
使い方としては、
「山を越す」「冬を越す」「十人を越す」「隣県に越す」
「隣県に越す」というように「越す」には、それだけで「引っ越しする」という意味があります。分かりにくいのは「引く」です。
手前に近づける意味があるのに、逆に向こう側に行きますよね。引っ越しした先の話ですと、引っ越し先に近づいたわけなので意味は合います。
ただ、引っ越す前でも「引っ越し」と使いますよね。
これは、「引く」には、引く動作によってその場にあるものをどこか別の場所へ移動させる、という意味があるからです。
先ほど紹介した「馬が荷物を引く」がこれに当たります。
となると、「引っ越す」という意味は、「荷物を引いて、ある場所を通りすぎて向こう側に行く」という意味となります。
では、この言葉はいつごろから使われた言葉なのでしょうか。
「引っ越し」はいつから使われた言葉?
この言葉がいつから使われたのかは明らかになっていません。
ですが、引っ越しのお供とも呼べる「引越蕎麦」が流行し始めたのは江戸時代からと言われています。
江戸時代から蕎麦が盛んになり、お店で売られるようになったのです。そこから蕎麦を人にあげるという習慣がついたと言われています。
引越蕎麦が生まれた由来としてはなんとなく予想がつきませんか。
「蕎麦」だけに「おそば」。
言葉遊びが盛んに行われていた江戸時代で「これからおそば(蕎麦)で末永くよろしくお願いいたします」
と言う意味でご近所に配られた。と言われています。
今では廃れつつある引っ越し蕎麦ですが、江戸時代からあった伝統的な風習だと思うと少し廃れるのがもったいない気がしてきますよね。
守っていきたい風習の1つだと思います。
そう考えると引っ越しという言葉は引っ越し蕎麦よりもっと前に使われていたということになりますね。
「引っ越し」の類義語は?
引っ越しの類義語はたくさんありますので紹介します。
- 家移り(いえうつり)
- 転居(てんきょ)
- 住み替え(すみかえ)
- 転出(てんしゅつ)
- 家渡り(やわたり)
です。
「家移り」や「家渡り」は聞きなじみがないのではないでしょうか。私には家移りなどは歴史系の小説(年代で言うと江戸時代~)でよく見かけるイメージがあります。
まとめ
今回は引っ越しという言葉の意味について紹介しました。「越す」には「引っ越す」という意味がすでにあって、「引く」は「荷物を引く」という意味です。
それが合わさった言葉なのですね。
引っ越しという言葉はいつから使われているのかはっきりしていません。
しかし、引っ越しのお供ともいえる引っ越し蕎麦は江戸時代から使われてきたという言葉なので、それより少し前くらいに使われ始めて言葉だと考えられます。
また、類義語としていくつか紹介したものも引っ越しのイメージがあるものでした。参考にしてくださいね。(おわり)